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The Tale of Glacier Lily

冬が長いある国に、グレイシアー・リリーと呼ばれる女の子がいました。

彼女は、1年のほとんどを雪山で暮らす不思議な女の子です。毎年春になると、雪解け水に乗って、ふもとにある、小さな村へとやってきます。

雪解け水が流れ出すと、村の人たちが大切に育てているシロップの木が一斉に目を覚まし、土の中から栄養たっぷりの水を吸い上げ、体の中でゆっくりと甘い樹液へと変えていきます。村の人たちは、この樹液を集めて大きな釜でグツグツと煮詰め、甘いシロップを作ります。

Glacier Lily

グレイシアー・リリーは、毎年村へ遊びに来ると、それをとても興味津々に覗いています。1年に1度、こうして村の人たちの暮らしをみるのが、グレイシアー・リリーの大の楽しみなのです。

グレイシアーリリーの本当の名前を知っている人は誰もいません。彼女は、毎年雪解けを合図に一斉に咲く、グレイシアー・リリーが高原を一面に覆っているほんの少しの間にしか現れないので、その花の名前で呼ばれるようになりました。

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シロップ作りが一段落すると、村の人たちはそれを大きな樽へと分け入れて保存します。そして、その大仕事の終わりに、樽のそばへそっと、去年に使い古したクリスマスオーナメントを置いていくのです。

すると、グレイシアー・リリーが注意深く現れ、少しだけ嬉しそうにクリスマスオーナメントをしまいこむと、やわらかな皮のようなものに包まれた小瓶を取り出し、キラキラと光るひみつのエッセンスを、ひとしずく樽の中へ落としてくれます。たちまち樽の中のシロップは、美しく透き通った琥珀色となり、より甘く、とてもおいしくなるんだそうです。